二次創作小説
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KANRI

スカイガールズ IF 風の求め

第3部 失くさずにすんだもの

4ページ目


「どうぞ、インスタントですが」
 テーブルの上にカップをふたつ置く。
「それで、お話というのは?」
 口をつけることなく切り出す。
「ああ、どこから話すか……。1週間前のことなんだが、未確認飛行物体が見つかって、大騒ぎになったのは知ってるな?」
「は……?」
 ポカンと口を開ける瑛花。それはそうだろう。いかにもワイドショー向けの話が飛崎の口から出たのだから。
「一応は憶えています。訓練生達はかなり騒いでいましたから。あれはUFOだの伝説のムー大陸だのと。最後は……確か宇宙に飛んでいった、でしたか。興味がなかったので詳しくは調べていませんが」
「その物体だ。単刀直入に言うぞ。あれは、ネストだ」
「は……?」
 同じ反応をする瑛花。無理もない、と付け加えて、飛崎は続ける。
「ネストが沈んだと思われる海域は今も定期的に監視されてる。あの騒動の翌日、海底に大穴が開いていたそうだ。前日には何も無かった場所にだ。そして、自然現象ではまずありえない。とのことだ」
 瑛花は必死で頭の中を整理する。
「情報源は?」
「今は諜報部にいる知り合い。森山からだ」
 森山、ネスト攻略戦では飛崎隊の一員として共に戦ったパイロット。模擬戦を行い、直接に言葉も交わした。少なくともつまらない嘘をつく男ではない。
「では、ネストは?」
「今は行方不明だ。最後に確認されたのは成層圏。それは間違いない」
 思考を巡らせる。ネストが消えた、それは事実だろう。冬后大佐が理由不明の呼び出しを受けた、それも間違いない。なら、そこから導き出される結論は?
「ワームが……復活した?」
「ああ、俺もそう考えた。早計過ぎるのも自覚はしてるがな」
「そんな……」
 瑛花の声は震えていた。脳裏に浮かぶのは、世界中で活動している教え子達が戦いに動員される姿。京香が、クリストゥールが、一衣が、クラウリアが、ワームに立ち向かい……そして――
「それに、可憐はなんのために!?」
「落ち着け!まだ確証はないんだ!」
 飛崎がなだめる。
「すみません。大佐が戻られたら聞いてみます」
「ああ、俺のほうでも何かわかりしだいすぐに伝える」
「お願いします」

 不意に、瑛花の携帯端末が鳴った。
「はい、一条です」
『一条教官、今冬后大佐から連絡がありました。そちらに繋いでもよろしいでしょうか?』
「大佐が!?ええ、すぐにお願い」
『了解』
 数秒の沈黙後、冬后の声が届いた。
『よう、一条。調子はどうだ?』
 やけに能天気に。
「大佐?今どちらに?」
『今は横須賀の街中からかけてる』
 緊張感が無いのは演技なのか素なのか。瑛花の勘は後者と告げていた。だが、それで不安が消えたわけではない。
「単刀直入に聞きます。今回の呼び出し……ネストが消えた件に関してですか?」
 一瞬間が開く。瑛花は願う。冬后が否定してくれることを。そして――
『……早耳だな』
 願いは叶えられなかった。瑛花の手から端末が滑り落ちた。
「冬后!本当なのか?それは」
 素早く端末を拾い上げた飛崎が問い質す。
『飛崎?なんだ、お前がばらしたのか?』
「冬后?」
 あくまでも軽い冬后の口調。飛崎は首をかしげる。
「お前が呼び出されたのはワームの復活に関することなんだろ?」
『ワームの……復活?なんだ、それでお前ら様子が変だったのか。勘違いだぞ、それ』
「ほ、本当ですか!大佐」
『ん、一条か。そんな状況でのんびり街中から電話するか?普通』
「良かった……。というか、そんなヒマがあるならさっさと戻ってください」
『悪い悪い、ちょっと連れが、な』
「連れ?」
『……おお、来たか。……さて、連れの用事もすんだし、今から帰るわ。それと飛崎に伝えといてくれ。今夜のメシは俺のオゴリ。さらに美人ふたりを同席させるってな』
 最後は一方的に告げると切れた。

「……とりあえず、深刻な話ではないようです」
 瑛花は一気に脱力する。
「ああ。ところで……美人ふたりと言ってたが、あとひとりは……?」
「さあ?」
 そっぽを向きながらも満更ではない瑛花。
「藤枝さんでは?」

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