| MENU 









|
| スカイガールズ IF 風の求め 第1部 失くしたくないもの
3ページ目
|
「ソニックダイバー隊、集合しました」
「ああ、ごくろーさん」
ブリッジ集合したソニックダイバー隊を迎えたのは、相変わらずの薄汚れたフライトジャケットに無精髭の冬后蒼哉だった。他にも、艦長の門脇曹一郎や副長の嶋秋嵩、管制担当の藤枝七恵や同じく通信兼食堂要員の速水たくみ、さらには緋月玲や周王紀理子といった面々も揃っていた。
一通り顔を見回すと冬后は音羽に目線を止める。
「橘から話は聞いてる。いけるな?桜野」
「もち!絶好調ですよ!」
「そーか、そいつはなにより」
相変わらずやる気の無さそうな冬后の言葉。が、あえてそれを無視して瑛花が尋ねる。
「大佐、私達を呼び出したのはそのことでしょうか?」
「いや――」
軽い調子から一転。一瞬言いよどむ。そして――。
「悪い知らせだ。多分最悪の、な」
苦々しく答えた。
「実際に見てもらった方が速いだろ。藤枝、50分前の画像を頼む」
「了解」
七恵の操作に従ってモニターに映ったのは海に浮かぶ岩だらけの島。たくみが補足する。
「50分前の映像です。3時間前にはこの場所には何も無かったのを確認しています」
「どう考えても自然現象じゃあ無い。コイツがネストと見て間違い無いだろう。ま、ここまではお前らも知ってるだろうが――」
「あたしは初めて聞いたんですけど……」
零神を動かすことに手一杯でそれどころでは無かったのが音羽。
「ああ、そうだったか。で、だ。問題はその後だ。今の画像を出してくれ」
「はい」
再び七恵の操作で現れたのはやはり島の画像。だが、大きく変わっている点があった。
「なんだろ、コレ?」
音羽の声は全員の気持ちの代弁でもあった。海に浮かんでいるのはやはり岩だらけの島。だが――
「雨雲……じゃないし……。あたしも長いこと海女さんやってたけど見たこと無いよ。こんな……黒い霧なんて……」
その言葉通り、島の周辺には黒いもやのようなものがただよっていた。
「この場所でこんな自然現象が起きること自体不自然よ」
「あ!だったら煙幕だよ」
「煙幕?」
「そうそう。きっとエリーゼ達の力に恐れをなしてさ〜」
「そっか、なるほどね〜」
あくまで楽観的な音羽とエリーゼ。黙ってモニターを見ていた可憐が口を開く。
「小さくなっていますね、島そのものは」
そう指摘する。事実、島自体のサイズは先と比べて2/3程に縮んでいた。
「島が……小さく……まさか!?」
何かに気付いたのか瑛花が声を上げる。
「これ……全部ワーム?」
その声は震えていた。
「正解、だ」
「最大望遠に切り替えます」
繰り返し七恵が画像を切り替える。
「うげ……」
「なにこれ……キモチ悪い……」
さっきまで楽観的だった音羽とエリーゼも思わず顔をしかめる。モニターには羽虫を思わせる姿の小型ワームが無数に蠢いていた。
「30分前からです。ネスト内部より湧き出すようにこれらのワーム群が現れたのは。現在はおさまっています。ワーム群はネスト周辺に展開。今のところこちらに攻撃してくる様子はありません」
「大佐、ワーム群の展開範囲は?」
やはり顔をしかめつつ瑛花が質問する。
「……半径役10キロ、頂点約2キロのドーム状、だな」
「広すぎる……これじゃ当初の作戦は……」
「無理、ですね。ビックバイパーのサイズではあの“黒雲”に入れません」
瑛花の言葉を可憐が静かに引き継いだ。
ビックバイパーが“黒雲”に突入した場合、無数の小型ワームは、ただ在るだけで空間に仕掛けられた機雷となる。つまり、当初の作戦――ビックバイパーの火力で突破口を開きソニックダイバー隊が突入、というのは不可能となったといえる。
「ま、そういうことだな。それにしても園宮」
「はい?」
「お前さん……やけに冷静だな」
「え、えっと……その……シミュレートしていたので……」
ここに至ってもなお男性苦手症により、しどろもどろになってしまう可憐。
続き
|
|