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| 射手の名前 4ページ目
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自室のドアを開けようとしたところで、不意にちとせの手が止まった。
「これ……なに?」
ドアには手のひらサイズの茶色い封筒が貼り付けられていた。
部屋を出る時には無かったはずだけど……。
手にとって眺めてみると、裏には“ちとせへ”とだけ書かれていた。
私に?
首をかしげつつ、部屋に入り、中を開けてみる。出てきたのは便箋だった。
――ちとせへ。ここのところなにか悩んでるだろ?一応先輩にあたるあたしらとしては相談してほしいところだけど無理に聞き出すってのもなんか違う気がしてね。だからこんなかたちでおせっかいを焼かせてもらったよ。
「フォルテ先輩……」
差出人の名は無かったが、文調からすぐにわかった。
私は……自分のことしか……ううん、自分のことさえも見えていなかった。先輩方に心配をかけているなんて思いもしなかった。
目頭が熱くなった。
――それでさ、悪いとは思ったんだがミントに読んでもらった。
「………………」
途端に、目頭の熱が引いた気がした。
――6番機の名前で悩んでるとは思いもしなかったよ。あたしらはわりとその場のノリと勢いで決めちゃったからさ。
「………………」
こんどは別の意味でショックを受けた。
『お前のなかでムーンエンジェル隊やタクト・マイヤーズがなかば神格化されてるのは薄々気付いていたよ。それについてどうこう言う気は無い』
不意にレスターの言葉がよみがえったが、とりあえず続きを読む。
――それはともかく、みんなで集まって考えてみたんだよ。6番機の名前を。同封しといたからさ、よかったら候補のひとつにでも入れといておくれよ。
P.S、別に押しつける気はないし、この手紙のことも明日には忘れるから。気にすることないよ。
「ありがとうございます、先輩」
(突っ込みどころもあったが)それでもフォルテ達が気を使ってくれている、ということはしっかりと伝わっていた。
先輩方が考えてくださった名前、というのは……。
同封されていた紙を取り出し、目を落とす。
さらに頭の中で反芻。
口に出してみる。
響きは悪くない。
この名前も、“今”の私には大きすぎると思う。だけど……。
「決めた!」
5分後、再びちとせは格納庫へと足を運んでいた。
1時間ほど前にはどこかおぼつかない足取りだった。こんどはしっかりとした、けれど、どこかそわそわした足取りで。
「GA006。私の……パートナー。ようやく、あなたの名前が決まりました。いえ、決めることができました。司令や先輩方にも随分迷惑をかけてしまったけれど……」
封筒を抱きしめる。
「先輩方に頂いた名前。正直、今の私にはまだ大きすぎると思います。でも、いつかなってみせます。先輩方とくつわを並べるにふさわしい、そして、この名を背負うのにふさわしい……エンジェルに」
私はまだ未熟者。目指す高みさえもはっきりと描くことができない。だからこそ、自分を磨き続けよう。決して、弛むことなく。
それが、ちとせが出した結論。
「改めてあいさつしますね」
大きく息を吸い込み、真っ直ぐに見据える。自身の愛機、半身となる存在を。
「これからも、よろしくおねがいします。シャープシューター」
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