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| GALAXY ANGEL
― The meaning of the name ― 6話 望まれぬ決意 2ページ目
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「ふぅ」
個室に備え付けられたシャワールームで軽く息を吐き出す。ちとせの好みである少しぬるめの湯がとても心地よかった。
――あの人が発案した作戦は今のところは……まだ破綻はしていない。
ラスクの作戦はと言うと――足の差を最大限に生かし、巨大艦の進路上にあるクロノドライブ可能ポイントでの待ち伏せ。そして、一撃離脱だった。
シャープシューターは真正面。サクリファイスは天頂方向に待機し、エトランゼは万一の事態を避けるためエリア外に退避する。
タイミングを見計らってサクリファイスが突撃しつつ、フォトンランチャーを発射することで巨大艦を釣り上げ、ショットカノンの発射直前にクロノドライブで離脱。
その時には巨大艦はシャープシューターの前に艦腹を向けているのでそこにあるキズ――初戦でフェイタルアロー6連射を射ち込んだポイント――にフェイタルアローを6連射。その後、シャープシューターも離脱。
といった一連の流れを“可能な限り”繰り返す。というものである。
作戦開始から100時間以上が経過。一撃離脱を仕掛けた回数はすでに20回を数えていた。
――126回目までで巨大艦の装甲を抜ければよかったけれど……。
それがベストの展開。可能性としては有り得たが、残念ながらそれは叶わなかった。
時間的にも位置的にも、次で最後。フェイタルアローを射ち込み続けた結果、巨大艦につけたキズは大分深くなっていた。
けれど、次で――132回目までで――貫けるかどうかは、まだ不確定。
――それに……。
もうひとつの不安要素。自分の左腕へと目を向ける。
クロノドライブ可能域の都合で、ラストアタックを前にしてまとまった休息(といってもせいぜいが5、6時間だが)を取れたのは幸運だった。身心はいくらか回復できたと思う。けれど、怪我の方はそうもいかなかった。
負傷直後に診察を受けた時は、肩から肘にかけてが真っ赤に腫れているふうだった。それが今では、肩と肘を中心にして黒ずんだ紫色が広がっている。
――まだ使うことは出来る……けれど……。
最初にショットカノンを受けた時、ちとせの左腕――肩と肘――にはヒビが入っていた。だが、安静にするどころか最低限の応急処置だけでハイペースの出撃を繰り返したことで、具合は目に見えて悪くなっていた。
――最後までもたなかったら……もしも、次で巨大艦の装甲を貫けなかったら……。その時は……。
誰にも話していないこと。フェイタルアローを大きく上回るカードが、ちとせの手にはあった。
それは――できることなら、ではなくて絶対にやりたくない方法。
――でも……ゲートを壊されるよりは……。
『もっと腕を上げて、今度こそはマティウスのやつから一本取ってやる』
何度も何度も、繰り返しラスクは言っていた。
“そうなればいいな”ではなく“絶対にその時を迎えてやる”といった意志を込めて。その時の楽しそうな顔は目に焼き付いていた。
――あの人が……帰れなくなるよりは……ずっといい。
覚悟はできているつもりだった。なのに、胸が苦しくなる。
ぬるいはずのシャワーに混じって、熱い何かが頬をつたうような気がした。
体を拭き、わずかに湿り気が残る程度に髪を乾かすと、制服にそでを通す。そして、左腕の痛みに顔をしかめつつも、後ろ髪にリボンを結びつける。
制服はともかく、リボンは別段必要という訳ではない。それでも、ゆずれないことだった。
「あ……これ……」
デスクの上に置いてあった紺色の巾着が目にとまった。
「…………そうだ!」
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