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| GALAXY ANGEL
― The meaning of the name ― 2話 天使とペテン師 9ページ目
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「って、どうしたんですか!?」
外に出るなりちとせはびっくりした。薄暗いシミュレーターの中では気がつかなかったこと。ラスクは――今しがたフルマラソンを完走したかのように――すっかり汗だくで前髪はべっとりと張り付き、心なしか青ざめているようにも見えた。
「ん?ああ……ちょっと、な」
「と、とにかく!これで拭いてください」
自分用とは別に用意しておいたスポーツタオルを差し出す。
「サンキュ」
「よかったら、これもどうぞ」
顔、というか頭を拭き終える頃を見計らって、水筒も差し出す。
「すまん、ありがたく貰うよ」
水筒を受け取り、コップ代わりのフタを外すと、直接に口をつけて、あおるように飲み始めた。
「よ、よっぽどのどが渇いてたんですね……」
豪快にのどを鳴らして、息継ぎもしないで飲み続ける姿にちとせは軽く引いてしまう。
「ふー、生き返ったよ」
「そ、そうですか……」
ようやくラスクも一息つけたようだ。
たっぷりと残っていたはずのスポーツドリンクはあっという間にカラになっていた。
「もしかして……シミュレーターの空調に異常でもあったんですか?」
「なんでだ?」
キョトン、といった感じで返された。
「なんでって……。その、すごい汗だったじゃないですか」
「それはそうだが……むしろ、鳥肌が立ったぞ」
「やっぱり……。後で整備班の方たちに見てもらわないと」
「いや、そうじゃないから……」
「え?でも……」
汗も鳥肌も、原因は空調ではなくて別にあるのだが、当の元凶(?)は全く気がついていなかった。
「ところで――」
このまま話を続けても果てしなく脱線していくだけ。そう判断したラスクは他の話題を持ちかけることにした。
「お前から見ると、どんなだ?PW02のパイロットは」
「そうですね……。機体の取り回しはかなりのもの。とっさの反応に関してなら、私の知る限りでは五指に入ります。加えて、戦術の組み立ても高レベルです」
まず先に関心した部分をあげていく。
「ですけど……。シミュレーターだから、と言えばそれまでですが……実戦であれはやらないで下さいね。なるべくなら」
あれ、とはいうまでもなくフォトンランチャー叩きつけ、のこと。
「痛いとこ突くな……。確かに、実戦でアレをやった日には……始末書の1枚2枚じゃあ済まないだろうけど」
「それ以前にフェイカーさんの身も危険なんです!」
危険だということも含めて、ラスクはわかって言っているのだろうが、ちとせの語尾が少しだけ強くなった。
「はぁ……。まあ、それも含めてフェイカーさんなんでしょうけど。あまり心臓に悪いことはしないでくださいよ?」
「ああ、それは約束するよ。お前に心配かけるのは嫌だから」
「わかりました。ともあれ、総合的に見てもフェイカーさんの腕前はかなりのもの。そう、思いますよ」
ラスクの発言は、聞き取り様によっては別の意味にも取れたのだろうが、ちとせは気付く様子も無く締めくくった。
「そっか。けど、あんまり褒めるなよ?なにせ俺は、すぐに調子に乗るような奴だから」
ラスク本人もその発言に意図は無く、疑問も持たなかったようだ。
「はい、しかと肝に命じます」
ちとせは言葉だけは生真面目に、けれど軽く肩をすくめる。
続き
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