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| GALAXY ANGEL
― The meaning of the name ― 2話 天使とペテン師 1ページ目
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遠くでなにかが、小さく光ったような気がした。
「うおあっ!?」
背筋を走った悪寒に突き動かされるように、半ば直感で、とっさに操縦桿を押し倒す。それとほぼ同時で、弾丸が愛機――サクリファイス――スレスレをかすめた。
「なんだ……?今のは……」
口には出してみるものの、考えられる可能性などひとつしか無いことをラスクは理解していた。頭では、だが。
再び、遥か彼方でなにかがきらめく。とっさに機体をそらすが、完全にはかわしきれず、かすかな衝撃がシートを揺らした。
「う、嘘だろ」
冷たいものが背中をつたうのがはっきりとわかった。
「この距離で……正確に……?……っとと!」
言い終える前に3発目の弾丸が飛来した。
“敵”は長射程からの狙撃に特化した機体だということは知っていた。そのパイロットが狙撃の名手だということもわかってはいた。けれど、現実は予想よりもはるかに上を行くものだった。
彼我の距離は約12000。サクリファイスの武装ではこの距離から届くものはただひとつ、ただ一発限り。が、たとえ撃ってもあたるとは思えない。にも関わらず敵の射撃は、正確に、こちらの中心をとらえてくる。
投げた石が10メートル先までとどくことと、10メートル先の的に命中させることが出来ること、というのは全く別物。
射撃に関しても同じことが言える。標的までの距離が離れていればいるほど命中させることは困難となる。ほんのわずかな角度のズレは、距離に比例して大きくなり、弾道をそらしてしまう。長距離の狙撃が高度な技術といわれる所以はそこにある。
ラスクは必死に思考を巡らせていた。
――むこうの間合いから逃げるのは無理だ。
わずかな角度のズレで弾道が大きく変わる、それは言いかえるならこちらがどれだけ動いてもほんの少し向きを変えるだけで容易に射線にとらえられる、ということ。
――さがったところでどうにもならない。
距離を開くことはできる。が、自分が手出し出来ないのではどうにもならない。
――肉を切らせて、は……ボツだな。
骨を断つ前にこちらが蜂の巣にされるのがオチだ。
――あいつの集中力が切れるのを待つ、なんてのは下策……いや、愚策だ。
“敵パイロット”は士官学校の頃でさえ1時間や2時間程度集中力を維持するくらい容易くやってのけていた。今がそれ以下とは思えない。ならば、先にプレッシャーで潰されるだろう。
――片鱗にすぎないんだろうが……お前の力は見せてもらった。けどな……胸を借りるつもりで、なんて殊勝なのはガラじゃない。やるからには……全力で勝ちにいくぞ!
敵からの攻撃はすでに10回を超えている。が、直撃はまだひとつとしてない。ラスクはそこに勝機を見出していた。
――あいつの射撃は正確だ。恐ろしいほどに。この距離にあって確実にこっちの中心を狙ってくる。が、裏を返せばそれは中心狙い一本だってことだ。むしろ予想は容易い。
――射撃と射撃の間に空白もある。砲の向きを定めるのに一瞬。照準を合わせるのに一瞬。そして、発射から着弾までに一瞬。避けた後で体勢を立て直しても少しは釣りがくる。なら、少しずつでも間合いを詰めることはできる。3500……いや、4000なら……勝負できる。
続き
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