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| GALAXY ANGEL
― The meaning of the name ― 1ページ目
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「そらっ!」
どこか軽い口調で白髪の少年が何かを放り投げた。
「えっ?ええっ!?」
それはゆっくりとゆるやかな放物線を描いて落下していく。目の前にいた人物、黒髪の少女は反射的にそれを受け止めた。
「あの……これは?」
視線を落とす。そこにあったのは手のひらに収まるくらいの紙包み。何の変哲もないもので特徴といったら赤いリボンで飾られていること、くらいだろう。
「ハッピーバースデーの贈り物ってやつだ。確か今日だったろう?」
困惑する少女。少年はニヤリとあまり質の良くない笑みで答える。
「あ……そうでしたね」
少女も合点がいったようだ。
「そんなわけだ。おめでとう」
「ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」
「駄目だ」
「…………はい?」
確かに開けてもいいかと質問したのは少女の方。けれど、この場面でそれを言うのはある意味決まり文句のようなものなわけで。即座に返ってきたのはあまりにもあまりすぎる返答。少女は唖然とした表情で固まってしまう。
「いや、そういうことじゃなくて……」
反応の意味に気付いた少年がフォローを入れる。
「少し……気恥ずかしいんだよ……。俺のいないところで頼む」
と、頬をかきつつそっぽを向いてしまう。お返し、というわけでもないだろうが、今度は少女の方が吹き出した。
「……何がおかしい?」
ジト目&憮然とした声を向けられるも少女は気にした様子もなしに答えた。――まだ笑いを抑えきれずに。
「ご、ごめんなさい。ふふ……。でも、なんだかおかしくて……。だって、私たちが出会ってからもう3年も経つのに……初めて聞きましたから、……ふふふ」
「お前ね……。俺にだって羞恥心ってものはあるんだ。しっかり刻んどけよ?」
「はい。心得ました」
ようやく笑いが止まった少女に軽くひと睨み。
にしても、と少年は遠い目をする。
「思えばもう3年か……。こういうことって全然無かったっけ……」
「そういえばそうですね。でも、どうして今になって?」
思わぬ贈り物への喜びからなのか、上目使いにどこか楽しそうに問いかける。
「そ、それは……。たまたまだよ、たまたま。そう!偶然お前の誕生日を知る機会があったから……」
「なるほど」
いかにも歯切れの悪い返事。付け加えるなら、同級生の誕生日を“偶然”知る。どこをどうしたらそんな状況が起きるのか、というのもはなはだ疑問ではあるのだが、どこか天然の気があるのか少女は納得してしまった。
「それにさ、なんだかんだあったけどここでの生活は充実してたんだよ。そのいくらかはお前のおかげだし……。あとは、世話になりっぱなしだったのもあるな、うん。レポートに試験勉強、情報解析の課題やら、狙撃の自主練にも随分付き合ってもらったから」
などと、早口にまくしたてる。
「そ、そんな……。私の方こそたくさん助けていただきました……。それこそ、この星に降りたときから……」
褒められることが苦手なのか少女はうつむいてしまう。
もし、他の誰かがこの場面を見たなら気付いたことだろう。ふたりそろって同じように赤くなっていることに。もっとも、片方はうつむき、もう一方はそっぽを向いていたので当人達は気付いていなかったが。
「…………」
「…………」
沈黙が降りる。そして――
「あの……」「あのさ……」
はかったようなタイミングで同じような言葉が飛び出し――
「えっと……なんでしょうか?」
「いや……お前の方から……」
互いに譲り合う。
「あ、あの……私にもお返しをさせてください。それで、お誕生日を教えてほしいんです」
「それならお安いごようだ。えっと、俺のは……来月の月始めだから……ちょうど2週間後だな」
と、指折り数える。
「わかりました。……あ、でも、里帰りされるんでしたよね?確か明日から」
「ああ、随分と歳の離れた弟が産まれそうなんで、ちょっとロームまで、な。けど、10日くらいで戻ってくる予定だ。出席日数は足りてるし、許可をとってあるとはいえ……あまり休みすぎると試験が怖いからな」
首をかしげる少女に対して少年は肩をすくめ冗談めかして答えた。
「それは……怖いですね。では、なにか用意しておきますね」
「OK、楽しみにしてるぞ。烏丸」
「はいっ!約束です。フェイカーさん」
――けれど、互いに満面の笑みで交わした約束が果たされることはなかった。その3日後、エオニア戦役が勃発。一切の連絡が取れなくなる。そして、少年の故郷――惑星ロームは黒き月の砲撃で壊滅することとなる。
続き
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